作品紹介

アール・デコの幻想ときらめき

ラリックは宝飾デザイナーから転身したガラス作家。優雅でリズミカルな装飾様式を確立し、アール・デコの寵児として活躍した。ラリックの開発したオパルセントガラスは、光に応じて色調が変化することから、とりわけ人気を博した。

ルネ・ラリック(1860-1945)

  1. 〈蓋物「ウプ」〉1921年
  2. 〈鉢「シレーヌ」〉1920年
  3. 〈香水瓶「アンフィトリテ(海の女神)」〉1920年

マグダラのマリアは、画家たちのインスピレーションの源であった

イタリアの古典絵画の影響を受けたエンネルは、風景画や裸婦像を得意とした。とりわけ、戸外を背景にした裸婦像は人気を博し、繰り返し描いた。ここでは聖女マグダラのマリアを、暗い岩壁にもたれかかり瞑想にふける若き美女として表わしている。

ジャン=ジャック・エンネル〈マグダラのマリア〉

パリの詩情を描く

ユトリロは生涯にわたりパリの街を描き続けたエコール・ド・パリの画家。もともとは、アルコール依存症の治療の一環で絵を描きはじめたが、やがて高く評価されるようになった。教会はユトリロが好んで描いたモチーフ。彼の絵の多くはパリの絵葉書を元にしているが、これもその一つと考えられる。

モーリス・ユトリロ〈バニューの教会〉1925年

最愛の妻とはじめての子

明るく輝くような色彩とやわらかな筆致で女性や風景を描いたルノワールは、印象主義の画家。後年は印象主義と古典様式を融合した独自の豊麗な作風を完成させた。ふくよかでばら色の頬をもつアリーヌは、ルノワールの理想の女性。創作意欲をかきたてるミューズ、妻、そして子どもたちの母として、生涯ルノワールを支え続けた。

ピエール=オーギュスト・ルノワール
〈母子像(アリーヌと息子ピエール)〉1886年

花はルノワールにとって生命の象徴でもあった

ルノワールには魅力的な花の絵が多い。菊やキョウチクトウなどをあふれんばかりに描いたこの作品も、そのひとつ。ここでは、さまざまな色彩と動きのある細やかな筆致とが響きあい、まるで画面から花の生気が立ち上っているように見える。

ピエール=オーギュスト・ルノワール〈花束〉1877年

最良のアトリエは自然のなかにあった

古典的な絵画を学んだコローは、パリ郊外の森やイタリアの風景、人物などを描いた画家。銀灰色の靄(もや)に包まれたような繊細な色調や抒情的な作風が、当時から人気を集めた。フランス北部の小村の何気ない風景を描いたこの作品にも、そうした特徴が見られる。

ジャン=バティスト・カミーユ・コロー
〈ジュイコットの想い出〉1865~1870年

その昔、絵には物語があった。この老人は誰?

新古典主義のダヴィッドは、美術アカデミーの中心人物。皇帝ナポレオンの首席画家としても活躍した。ベリサリウスは東ローマ帝国の将軍。無実の罪をきっかけに、物乞いに身を落とした伝説がある。ここでは、施しを受けながらも威厳を失わない武将の表情が、明暗を生かした緊張感のある描写で表わされている。 

ジャック=ルイ・ダヴィッド〈ベリサリウスと子供〉1780年頃
 
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